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「アートショップ向井」
オーナーは向井勝實(かつみ)さん

前回の続きです)

はるばる鹿児島の「奄美大島」からやって来て、栃木の「那須」に住み着いた向井さん。

故郷の青森から母を呼び、ここ那須町で暮らし始めました。

ところが、当時の那須町では、よそ者との交流を避ける慣習があったといいます。

那須町は「ムラ社会」

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「県民性」とは、その地ならではの価値観や気質。

地域の気候や風土、または独特の文化によって育まれるようです。

ここ那須町(栃木県)の県民性は・・・
・男女ともに真面目。

ややマイペースで保守的なところがあり、新しいことにチャレンジするよりは安定した現状を維持したい。

人見知りをしやすい。

・仲良くなってじわじわと魅力が出てくるため、初対面と印象が異なる人が多い など
(参考:47の県民性

土地柄は・・・
ムラ社会。

⇒ムラ社会とは?
村社会(むらしゃかい)とは、集落に基づいて形成され、有力者を頂点とした序列構造を持ち、昔からの秩序を保った排他的な社会を指す。
(出典:Wikipedia

向井さんは考えます。

ただの旅行ではなく、「住む」となれば、家族共々「ご近所づきあい」があった方がいい。

さて、どうしたものか・・・

那須町の人と仲良くなりたい!

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向井さんは、室井社長に相談しました。

那須町の人々に受け入れてもらうには、どうしたらいい?

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室井社長
そうですねえ・・・
まずは、「子ども」でしょう。

まず、子どもから。

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信頼関係を築き上げるのに、大人同士だと10年掛かるでしょう。

ですが、子ども達から喜ばれる人になれば、親の「心の敷居」も下がるかもしれません。

折りしも、時はクリスマス。

2人は「Xmasのサンタ作戦」を思いつきました。

出会った当初、酒屋「室井商店」の店主だった室井社長は、その頃、「ムロイカンパニー」を設立していました。

そうです。

「那須リゾートショッピングパーク661st」

が、誕生していたのです。

いよいよ、作戦準備に入ります。

ステージ衣装として、衣料品メーカーからサンタコスチューム2着を購入し、

クリスマスプレゼントとして、袋詰めギフト100個を用意しました。

サンタクロースに扮した2人のおじさんは、クリスマスプレゼントを背負って、界隈の保育所や幼稚園を訪問します。

当時の農村部では、まだ「クリスマス」を知らない子どもたちも居ました。

子どもたちに屈託のない笑顔で飛び付かれ、見送られ・・・

その歓待ぶりは、彼らを「驚かせ楽しませる」つもりだったサンタの方が、逆に感動させられるほど。

作戦は、大成功でした。

「サンタエクスプレス」発進!

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3年目から、2人は「サンタエクスプレス」と銘打って登場しました。

プレゼントはもちろん、661ストリートで用意します。
(中には、結構なお値打ち品もあったとか・・・)

イブの夜、子ども達に見つからないよう、サンタのおじさんたちはせっせとプレゼントを宅配しました。

行く先で出会った子どもたちに、

「Merry Xmas!」

と、カンタンな英語で話しかければ

「本物のサンタだ!」

と歓声を上げ、親子で喜んでくれました。

「サンタエクスプレス」は、すっかり馴染みになりました。

那須町の風物詩に?

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「サンタエクスプレス」の存在は徐々に広まり、隣町の白河や大田原でも噂されるようになりました。

子どもたちから、

「サンタさんが、スニーカー履いてた!」

「ソリじゃなく、661と書いてある車で来てる!」

などの目撃情報が入れば、白い長靴パジェロ(!)まで購入したこともありました。

その後、「少子化」と「サンタの高齢化」を理由に「サンタエクスプレス」は一旦クローズしました。

2人は「サンタのおじさん」としての役目を終えましたが、

「よそ者」だった向井さんが御近所との交流に成功したことは、言うまでもありません。

あの頃の子ども達も、今や30代。

もう、那須には住んでいないかもしれませんね。

「サンタエクスプレス」は今・・・


meg-smile
まだやってるの!?

rod-smile
復活する年もあるんだね~!

nofu-normal
そろそろもう、サンタの「おじさん」じゃなくて「おじいさん」ですかねぇ。

おしまいです

お読みくださり、ありがとうございました!